「ひとくふう」はホントに一工夫なのか?

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大和住銀の「ひとくふう」シリーズ

大和住銀投信投資顧問から、「ひとくふう」と題したアクティブファンドのシリーズが発売されています。ひとくふうシリーズの特徴は、アクティブファンドにも関わらず、低コストで運用されていることです。また、アクティブファンドとしての運用方針を「ひとくふう」と称してブランド化しているのも特徴の1つと言えるでしょう。

そんなひとくふうシリーズの「ひとくふう」は、本当に一工夫になっているのでしょうか?

JPX日経400の変形版「ひとくふう日本株式ファンド」

「ひとくふう日本株式ファンド」は、JPX日経インデックス400構成銘柄を投資対象する投資信託です。あくまでも投資対象銘柄がJPX日経インデックス400構成銘柄なだけで、JPX日経インデックス400に連動するわけではありません。

この投資信託での「ひとくふう」は、JPX日経インデックス400構成銘柄を参考に、価格変動リスクを抑えたポートフォリオを構築していることです。

具体的にどのようなポートフォリオを構築しているかは、実際の銘柄を見た方が早いのですが、この投資信託も日本の典型的な投資信託の例に漏れず、ポートフォリオを公開していません。仕方ないので、業種別の組入比率を用いてJPX日経400と比較してみましょう。

業種 比率
1 医薬品 13.5%
2 小売業 12.2%
3 食料品 11.6%
4 情報・通信業 10.0%
5 電気機器 9.4%
6 建設業 8.2%
7 サービス業 6.9%
8 陸運業 6.7%
9 電気・ガス業 4.0%
10 化学 3.8%

出典:ひとくふう日本株式ファンド2016年6月月次レポート

業種 比率
1 電機・精密 14.28%
2 情報通信・サービスその他 11.49%
3 自動車・輸送用機器 10.47%
4 銀行 7.57%
5 素材・化学 7.24%
6 医薬品 6.91%
7 金融(除く銀行) 6.50%
8 運輸・物流 6.14%
9 機械 4.76%
10 小売 4.75%

出典:JPX日経インデックス400ファクトシート

業種の区分の仕方が異なるので厳密な比較はできませんが、ひとくふう日本株式ファンドの方は、なんとなく「医薬品」「小売」「食料品」の業種の比率が高くなっています。日本の株式市場は、電機機器や自動車銘柄の時価総額が高いため、時価総額加重平均型のJPX日経400もこれらの業種の比率が高くなります。一方、ひとくふう日本株式ファンドでは、医薬品、小売、食料品などの業種が、電機機器や自動車・輸送用機器の業種を完全に押しのけているので、ここに「ひとくふう」の効果が表れていると言えます。

為替リスクを抑制する「ひとくふう世界国債ファンド(為替ヘッジあり)」

「ひとくふう世界国債ファンド(為替ヘッジあり)」は、日本を含む世界各国の国債に投資する投資信託です。外貨建資産については、為替ヘッジを行っており、為替の影響を抑制した世界国債ファンドとなっています。

この投資信託での「ひとくふう」は、リスクを抑制しながら、為替ヘッジ後の期待収益が大きくなるようにポートフォリオを組んでいることです。

通常、為替ヘッジを行うと、為替ヘッジ対象通貨との短期金利差分が「為替ヘッジコスト」となり、収益を圧迫します。そこで、為替ヘッジ後の収益の大きい国債を選んでポートフォリオを構築しようというのが、この投資信託の戦略です。

ただ、むやみに高金利の国債に投資すると、リスクも大きくなってしまいます。そこで、この投資信託の「枷」として、投資対象の国をシティ世界国債インデックス採用国に限定し、なおかつ投資する債券の格付けはBBB格以上、すなわち投資適格債に限定しています。

実際に、組入上位銘柄をながめると、世界国債の投資信託でありがちな米国債上位のポートフォリオではなく、フランス国債が上位に食い込んでいるのがわかります。インデックスファンドでよくある「時価総額加重」でポートフォリオを組むと、まず間違いなく米国債が上位を占めるので、「ひとくふう」の効果がはっきりと表れています。

銘柄 国名 格付 組入比率
1 FRANCE OAT. 2.25 10/25/22 フランス AA 10.6%
2 FRANCE OAT. 4.25 10/25/23 フランス AA 8.6%
3 US TREASURY N/B 4.625 02/15/40 アメリカ AAA 8.6%
4 UK GILT 4.75 12/07/30 イギリス AA+ 7.0%
5 BONOS Y OBLIG DEL ESTADO 4.4 10/31/23 スペイン BBB+ 5.2%

出典:ひとくふう世界国債ファンド(為替ヘッジあり)2016年6月月次レポート

一番の問題児「ひとくふう新興国株式ファンド」

「ひとくふう新興国株式ファンド」は、新興国株式に投資する投資信託です。と言っても、新興国株式に直接投資するのではなく、ETFを通じて間接的に新興国株式に投資しています。

この投資信託での「ひとくふう」は、異なる特性のETFをミックスし、高いリスク調整後リターンの獲得を目指してポートフォリオを構築していることです。

新興国株式ETFを、「市場追随」、「最小分散」、「バリュー」、「高配当」、「小型株」、「モメンタム」、「マルチファクター」、「テーマ型」の8分野に分類し、それぞれから1つ以上のETFを抽出して、ポートフォリオを構築しているのが、この投資信託の特徴です。

ただ、戦略は良いとしても、そのためにETFを用いるのはどうかと思うんですが・・・。

ETFを用いるということは、ファンド・オブ・ファンズの形式をとることを意味し、ETFにかかる経費がそのまま信託報酬に上乗せされるということです。実際、この投資信託の信託報酬は年率0.30%(税抜)ですが、これにETFの経費が上乗せされて、実質的な運用管理費用は年率0.464%(税込)程度~1.224%(税込)程度に膨れ上がります。

また、ETFに頼るということは、自分のところで個別銘柄を選定する力がないと言っているようなもので、はっきり言って感心しません。自分のところで銘柄選別すると信託報酬が高くなるかもしれませんが、ETFを用いても結局コスト高になるのは先述した通りです。となると、自社でポートフォリオを組んでも、投資者側から見たコストは同じです。それをやらずに、ETFの力に頼ってしまうのは、運用会社の怠慢としか言いようがありません。

費用の面で言うなら、運用管理費用の変動幅がやけに広いのも気になります。といっても、運用管理費用は、各ETFの組入比率によって変動するため、表記上はこうなってしまわざるを得ません。ただ、こうなってしまう原因は、様々なETFを組み合わせるおかしな運用形態にあります。突っ込みどころが1つ増えてしまうという意味でも、やはりETFをてきとうに組み合わせた投資信託は印象が良くありません。

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