転換するか否かそれが問題だ – 米国ETFへの転換について考える

当サイトにメールアドレスを掲載して以来、初めてのお便りをいただきました。早速ですが、質問者「Nさん」からのお便りをご紹介します。

iシェアーズの東証上場ETFを上場当初から複数銘柄保有しております。
BUY&HOLDなので、流動性についてあまり気にならなかったのですが、比率調整のために最近売却する必要があったら際に、出来高が非常に少ないため、百万円単位の売却が困難でした。

主に、SBI証券を利用していますが、SBI証券に、iシェアーズの東証上場ETFを米国上場ETFに転換するサービスがあり、流動性の問題から利用を検討しています。
転換時に、譲渡課税が生じるようですが、iシェアーズシリーズ東証上場について、出来高もあまり増えていないので、流動性の観点から、米国上場へ転換した方がよいのではないかと考えています。

また今後買い増す場合でも、米国上場ETFであれば、円高の際に、ドルを買っておき、米国上場ETFを比較的価格が低めになった際に、ドル建て決済で購入すれば、平均取得単価を下げることができるのではないかと考えています。

以上2点について、ご意見をお聞かせいただけると幸いです。どうぞよろしくお願いいたします。

というわけで、ETFの転換を題材に、Nさんのご質問に筆者なりの回答を行いたいと思います。

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そもそも米国ETFへの転換とは?

iシェアーズの一部のETFは、ETF-JDRという形式で東証に上場しています。詳細については、筆者が解説するよりもわかりやすい解説があるので、そちらに譲ります。

簡単に言うと、海外で上場しているETFを国内の市場で売買できるようにした仕組みがETF-JDRです。東証に上場しているiシェアーズのETFで、米国ETFのETF-JDRとして流通しているものは、次の通りです。

銘柄コード 銘柄名 ベンチマーク
1581 iシェアーズ 先進国株 ETF(MSCI コクサイ) MSCIコクサイインデックス
1582 iシェアーズ エマージング株 ETF(MSCI エマージングIMI) MSCIエマージング・マーケット IMI インデックス
1583 iシェアーズ フロンティア株 ETF(MSCI フロンティア100) MSCIフロンティア・マーケット 100 インデックス
1587 iシェアーズ 米国超大型株ETF(S&P100) S&P 100
1588 iシェアーズ 米国小型株ETF(ラッセル2000) ラッセル2000
1589 iシェアーズ 米国高配当株ETF(モーニングスター配当フォーカス) モーニングスター配当フォーカス指数
1590 iシェアーズ 米国リート・不動産株ETF(ダウ・ジョーンズ米国不動産) ダウ・ジョーンズ米国不動産指数

これらのETFについては、NYSEまたはNASDAQに対応するETFが上場しています。そこで、保有しているこれらのETF-JDRを米国ETFに置き換えてしまおう!ということで、米国ETFへの転換サービスというものがあります。

転換のメリットとデメリット

実のところ、転換による目立ったメリットやデメリットはありません。強いて言うなら、Nさんの書かれている通り、米国ETFの方が流動性が高いこと、加えて税制面で少し有利なくらいです。

税制面では、どちらも税率は同じ(ETF-JDRの場合は分配金米国源泉税軽減税率適用サービスの適用を受けていることが条件)です。ただし、米国ETFの場合は、配当金にかかる国内分の所得税を「外国税額控除」により、いくらか取り戻すことができます(要確定申告)。したがって、税制上のメリットは多かれ少なかれあると言えます。配当金が多くなれば、当然ながらメリットも大きくなります。

しかし、この外国税額控除というのがかなりの曲者で、計算が複雑な上に課税額の一部しか還付されないため、果たして本当にメリットと言えるのかどうかわかりません。筆者は、面倒くさいので申告してません(笑)。どれくらい面倒くさいかは、国税庁のWebページをご覧くださいませ。

取引手数料が気になるなら転換すべきでない

転換によるメリットやデメリットはありませんが、転換後の取引には大きな影響が出てきます。なぜなら、ETF-JDRから米国ETFに転換すると、取引手数料が跳ね上がるからです。

ポイントとなるのは、米国株と日本株の売買コストの差です。

たとえば、SBI証券の場合、取引手数料は次の通りです。

種別 日本株(ETF-JDR) 米国株(米国ETF)
手数料 1日の約定代金合計10万円まで103円~
または
1注文の約定代金合計10万円まで150円~
約定代金の0.45%
最低手数料:5ドル(税込5.4ドル)
上限手数料:20ドル(税込21.6ドル)

両者で手数料の算出方法が違うので、ちょっと比較しにくいですが、手数料率で比較したらどうでしょうか?

日本株の手数料率は、最安で約0.1%です。これに対し、米国株はその4.5倍にあたる0.45%です。

どちらが高いかは、言うまでもありませんね。

さらに、米国ETFの場合に忘れてはならない手数料として、為替手数料があります。SBI証券の場合は、1米ドルあたり25銭の手数料がかかります。1米ドルが100円と考えると、手数料率は0.25%となるので、意外とバカになりません。

Nさんの場合は?

以上を踏まえた上で、Nさんのケースについて考えてみます。

Nさんの場合、「百万円単位の売却が困難」とおっしゃっています。貧乏投資家の私にはちょっと考えられない数字ですが(汗)、それはさておき、それだけ多額の売買を行うと、米国株の取引手数料率がかなり薄まります。なぜなら、1注文あたりの手数料の上限が20米ドルに決まっていて、それ以上は増えないからです。

手数料率0.45%で手数料が20米ドルになる約定代金は約4500米ドルです。100万円というと、よほど円安でもない限り5000米ドルを大きく上回る数字なので、手数料率は0.45%を下回ることになります。となると、取引手数料のことはある程度目をつぶっても良いでしょう。

それよりも、Nさんの場合、売買できるかどうかの方が問題です。東証で全然人気のないETFを100万円単位で売却しようなんて、おそらく不可能です。無理やり売ることもできなくはないですが、買い手がつかないため、基準価額を大きく下回る価格で売却する羽目になります。

となると、Nさんの場合は転換するのが正解でしょう。手数料率がどうこう言うよりも、まともに取引できないことの方が大きな問題だと思います。

ただし、上記の結論に至った理由は、Nさんの取引金額が大きいからであって、少額の場合は逆の結論になり得ます。すべての投資家の皆さんに当てはまるわけではないことは、十分ご理解ください。

「安い時に買う」は平均取得単価を下げる王道手段

平均取得単価を下げる方法は、1つしかありません。

「安く買う」

以上、おしまい!

・・・ってな回答を書くと、Nさんから怒られそうなので、もう少し。

平均取得単価を下げる方法は、安い時に買う意外に方法はありません。Nさんの書かれている「円高の際に、ドルを買っておき、米国上場ETFを比較的価格が低めになった際に、ドル建て決済で購入」という方法が、まさに「安く買う」方法そのままです。

ただ、問題は「いつが買い時と判断するか?」です。

相場の格言に、「もうはまだなり まだはもうなり」というのがあります。安いと思って買い込んだらさらに下がった、なんて相場の世界ではよくある話です。

筆者の場合、「円高の時に米ドルを買い貯めしておこう!」と考えて、あるタイミングで米ドルを買い込んだら、その1週間後にさらに円高になったなんて経験が何回かあります。米国ETFの購入にあてる資金だったので、あまり問題はなかったのですが・・・でも、なんか悔しい(´;ω;`)

そこで筆者は、ある固定されたタイミング(例:毎月1日など)で一定口数を時価で買い付けるというドルコスト平均法に近い方法を執っています。米ドルへの両替も時価です。買い付けのタイミングを固定することで買い時の判断をなくし、その代わりに買うタイミングを分散させることで、平均取得単価を高値と安値の中間付近に収まるようにするのがねらいです。

ただし、毎回一定口数だけ買い付けると、安値の時にに少額しか買わないことになるので、あまりにも安すぎる時は、高値の時と同額になるように口数を増やして調整しています。たとえば、直近高値が100米ドルのETFが50米ドルまで下落した場合、1口だけ買っていたものを2口に増やします。ETFは、等金額で積み立てられないのがめんどくさいです・・・。

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