MBSが多い米国総合債券市場ETF

米国債にETFで投資する場合、残存期間別の米国債ETFに投資する以外に、米国の債券市場全体にまるっと投資する方法があります。と言っても、別に特別なことではありません。国内債券型のインデックスファンドも、国内債券市場全体にまるっと投資しているので、これと同じことが米国債券市場でできるというだけです。

ただ、日本と米国では、債券市場の構成がかなり異なるので、そのあたりを解説したいと思います。

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米国総合債券ETF

現在、国内の証券会社で購入できる米国総合債券型のETFは、次の2本です。

iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF バンガード・米国トータル債券市場ETF
運用会社 BlackRock Fund Advisors Vanguard Fixed Income Group
Ticker AGG BND
経費率 0.05% 0.06%
純資産 約426億米ドル 約314億米ドル

いずれも、米国投資適格債(BBB格以上の債券)全般に投資するETFです。投資適格債しか含んでいないため、信用リスクが低く、安定的な投資先としては有力な選択肢となり得るでしょう。格安の経費も魅力的です。

ちょっと気になるのは、これら2つのETFは国債以外の債券を大量に組み入れていることです。

日本の国内債券インデックスファンドでベンチマークとして多く採用されている「NOMURA-BPI」は、ポートフォリオの8割が国債です。したがって、国内債券型のインデックスファンドに投資すると、ほぼ国債に投資したことになります。

一方、「iシェアーズ・コア 米国総合債券市場 ETF」や「バンガード・米国トータル債券市場ETF」における発行体別の構成比は、次のようになっています。

これを見ると、米国債の発行体は米国財務省なので、米国債の割合が半分にも届かないことがわかります。また、米国財務省が発行する米国債と企業が発行する社債はよく知られていると思いますが、「MBSって何?」となる人は多いと思います。しかも、ポートフォリオの2割超を占めるので、無視するわけにもいきません。

MBSとは?

MBS(Mortgage Backed Securities)は、住宅ローンなどの不動産担保融資を裏付けとして発行される証券のことです。日本国内では、「モーゲージ証券」などと呼ばれます。銀行などが貸し付けた住宅ローン債権を証券化機関が買い取り、元利金の支払い保証をつけた上でMBSとして売り出されます。

要するに、MBSは住宅ローンを証券化したものと考えて間違いはないでしょう。しかし、ただの住宅ローンだと信用力が低いので、政府機関のジニーメイ(連邦政府抵当金庫)、民間機関のファニーメイ(連邦住宅抵当公庫)やフレディマック(連邦住宅金融抵当金庫)といった証券化機関が間に入ることで、信用力を高めています。

MBSの本質は住宅ローンのため、債券としての性質が国債とは少々異なります。MBSには、期限前償還リスクがあるため、金利の上下による価格の変動が変則的です。

住宅ローンは、金利が低下すると借り換え需要が発生するため、繰り上げ一括返済による期限前償還が増えます。すると、デュレーションも短期化してしまうので、MBSの債券価格はあまり上昇しません。逆に、金利が上昇すると、期限前償還が少なくなり、デュレーションが長期化します。したがって、金利上昇とデュレーション長期化によるダブルパンチで、MBSの債券価格は大きく下落してしまいます。

実は、日本においてMBSという仕組みはあまり普及していません。探せばないことはないのですが、逆に探さなければ出てこないというレベルなので、一般投資家が知らないのも無理はありません。

MBS vs 米国債

筆者はMBSというものに対してどうも違和感を感じます。住宅ローン債権が、銀行、証券化機関、および投資家の間で行ったり来たりするので、仕組みとしてややこしく、誰が責任を取るのか不安になります。事実、2008年のサブプライムローン問題で、この不安は現実のものとなったことがあります。

一方、米国債は、米国政府が資金調達のために自ら発行する債券で、元本や利金の支払いも米国政府自身が責任を持ちます。したがって、仕組みが非常にシンプルでわかりやすく感じられます。

利回りは、MBSの方が高く設定されています。先述したとおり、MBSは期限前償還というリスクがあるため、相応に利回りも高くなっているということです。

まとめ:仕組みを理解した上での投資を

AGGもBNDも格安の経費で米国の投資適格債に投資できる優良ETFです。しかし、MBSという日本国内では聞き慣れない債券を多く含んでいます。MBSも高い格付けを得ているので、投資先として悪いわけではありません。しかし、仕組みやリスクは通常の債券よりも複雑なので、よく理解した上で投資するように心がけたいものです。

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