やっとわかった!為替プレミアムを得るファンドの仕組み

筆者が投資信託を始めたのはおおよそ5年前です。その頃から、ある種類の投資信託の仕組みがどうしてもわからずに困っていました。

その投資信託とは「為替ヘッジプレミアム」を得るというものです。この種類の投資信託は、原資産となる株や債券に投資しつつ、為替取引によるプレミアム収入を得るというのが最大のウリ文句です。現在でも毎月分配型ファンドで大流行していて、毎月高額の分配金を出すことで人気を集めています。

しかし、「為替取引」って、何をどうやっているのでしょうか?FXなら知っていますが、FXは証拠金をもとにレバレッジをかけて仮想的に大量の通貨をトレードすることで、為替差益やスワップポイントを得る仕組みです。一方、投資信託は、株や債券に投資を行いつつ、この為替取引を行うとあります。この時点で既にわけがわかりません。

「資金は株と債券に投資しているのに、為替取引なんてできるの??為替取引に必要な資金はどこから持ってくるの??」

普通はそう思いますよね?

頭を悩ませながらいろいろ調べていくうちに、ようやく答えに辿り着いたので、その仕組みについて紹介します。

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投資信託で為替取引を行う仕組み

投資信託で行う為替取引とは、要するに原資産を証拠金としてレバレッジ1倍のFX(外国為替証拠金取引)を行っているのと同じようなものです。厳密には、FXとはちょっと異なり、「為替先渡取引(FXA)」というものが行われます。

FXAは、マーケットでの取引ではなく、取引を行う当事者間の相対(あいたい)取引で、当事者間で為替レートと決済日を決めて為替予約取引を行います。証拠金は必要ありません。決済は、基本的に決済日当日まで行われることはなく、決済日になると、反対売買を行って決済します。この時、FXと同様に、実際に現物通貨を受け渡すことはなく、取引で生じた為替差益(または為替差損)とスワップポイント(金利差調整分)の支払いが行われます。

たとえば、あるAファンドがB銀行を相手に、日本円とトルコリラの為替先渡取引を行うとします。Aファンドは、円売りトルコリラ買いを行い、反対にB銀行は円買いトルコリラ売りを行います。為替レートは1リラ=50円とし、1ヶ月後に決済を行うものとします。

1ヶ月になると、AファンドとB銀行は、それぞれ反対売買を行って決済します。この時点で、為替レートが1リラ=40円になっていたとします。すると、Aファンドは、1リラあたり10円の為替差損が生じます。逆に、B銀行は、1リラあたり10円の為替差益が生じます。そこで、AファンドはB銀行に1リラあたり10円の現金を支払い、差金決済を行います。

また、これとは別にスワップポイントが生じます。現状では、円よりトルコリラの方が圧倒的に金利が高いので、B銀行はAファンドに対して1ヶ月分のスワップポイントを支払います。これがいわゆる為替ヘッジプレミアムです。金利差が逆転してしまった場合は、Aファンド側がスワップポイントを支払う必要があるので、為替ヘッジコストに変化します。

では、実際の投資信託でどれくらいの額の為替取引を行っているのかというと、その投資信託が抱えている原資産(株や債券など)とほぼ同じ額で為替取引を行っています。Aファンドが100億円分の債券に投資していたとしたら、100億円分の為替取引を行います。しかし、本当に100億円を動かすわけではなく、先述した通り、実際に受け渡しを行うのは為替差額とスワップポイントに該当する金銭のみです。

これを前提に、為替取引を行う投資信託について考えてみると、ファンドの収入源は以下のようになります。

  1. 原資産(株式または債券)によるインカムゲインとキャピタルゲイン
  2. 原資産に対して行う為替先渡取引による為替差益または為替差損
  3. 原資産に対して行う為替先渡取引によるスワップポイント(為替ヘッジプレミアム/コスト)

1は、為替取引に関係なく、原資産から得られる収入です。為替差損の決済のために原資産の一部を取り崩す、といったことがない限り、原資産の収入は変化しません。

2は、原資産と同額の通貨について為替先渡取引を行い、それによって生じる為替差益または為替差損です。これにより、原資産が取引対象となる通貨建てに化けたような効果を得られますが、原資産には手をつけていないので、実際には原資産は原資産のままです

3は、先の為替先渡取引によって得られるスワップポイントです。原資産が擬似的に取引対象通貨建てになったことで生じる金利差収入または金利差支出です。くどいようですが、原資産には手をつけていないので、原資産は何ら変化していません

あとがき

このように考えると、原資産の収入にプラスして、為替プレミアムを得るという投資信託の収益構造をようやく理解できました。それと同時に、こういった投資信託に生じるリスクというのもよく理解できてしまい、安易に手を出してはいけないということもよくわかりました(笑)。

それにしても、為替取引を行う投資信託の目論見書は、なぜこういった仕組みをわかりやすく書かないんでしょうか?いろいろな投資信託の目論見書を読んでみると、どいつもこいつも抽象的なことしか書いておらず、「損益のイメージ」みたいな図で誤魔化しています。目論見書の本来の目的は、投資信託について投資者にしっかり理解してもらうことのはずです。こんなわけのわからない目論見書を書いて理解してもらおうと言うのであれば、それは運用会社の怠慢としか言いようがありません。それとも、単に筆者の知識不足なんでしょうか?

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